
人工甘味料①「キシロース」
キシロースとは
今回は人工甘味料のひとつである「キシロース」についてです。
キシロースは、木糖ともいわれる、植物の中に大量に存在するキシランの構成成分です。桜や楓などの木材や、トウモロコシの殻や綿の実の殻を加水分解して生成されます。
キシロースの用途
甘味の強さがショ糖の4割程度しかなく、価格も高いので、一般的な甘味料としては利用されることは少ないです。
摂取しても半分近くが体外に排出されるといわれていて、低カロリーの甘味料として、ダイエット食品などに主に利用されています。
また、原料を混ぜるときに、キシロースを少量加えると食品に適度な色(カラメル色)と匂いがつきます。さらに、この褐色に変化する反応が酸化防止にも効果があり、褐変反応で生じた物質が微生物の増殖を抑える働きをするため、食品の保存性を高めるともいわれています。このため、食品製造用剤として分類されています。
キシリトール
キシロースを還元すると、キシリトール(キシリット)ができます。キシリトールはショ糖の約65%の甘味があり、医薬品としても一部利用されていますが、1997年に食品添加物に指定されました。こちらも、ダイエット食品や糖質制限用食品の甘味料として利用されています。
キシロースの毒性
キシロースの人間に対する有害性は報告されていませんが、キスロースを多量に含んだ飼料を動物に与えたところ、白内障を起こすことが分かっています。
カロリーゼロなのになぜ甘い?人工甘味料
ダイエット食品にかぎらず、近年の糖質制限ダイエットブームも後押ししてか、「カロリーゼロ」のお菓子や飲料が世の中には溢れかえっていますね。
「カロリーゼロ」と書いてあるとついつい手に取ってしまいそうになりますが、同時に疑問に思うことがあります。
そう、「カロリーゼロなのになぜ甘いの?」という素朴な疑問です。
そもそも、甘味は人間にとって、古くからとても大切なものです。古来にさかのぼると、砂糖は大変貴重品であり、ハチミツや甘茶などの甘味料も、量に限りもあってとても高価なものでした。
そこで、それに代わるものを作ろうと、甘味料の研究が盛んに行われ、そのなかで、石油などを原料とする安価な「人工甘味料」がいくつか開発されました。
しかし、中には、チクロやズルチンなど、発がん性が疑われるとして、使用禁止になったものもあるように、その安全性については、いまだ疑問視されています。
発がん性だけでなく、血糖値の上昇や脳の障害、腎臓機能の低下など、人工甘味料を摂取することにって引き起こされる、悪影響や副作用について、これまでさまざまな報告がなされています。
単に、糖分を避けたいからといって、人工甘味料を使った食品を摂取するのは、かえって肥満を引き起こしたり、健康を害する恐れもあるのです。
糖質が気になる人もそうでない人も、健康的な食生活のためには、甘味は、精白していないお砂糖や、ハチミツやメープルシロップなどの自然の甘味料から、少しだけ摂るのが理想です。