マクロビオティックライフ講座 第6回「放射能に負けない体づくり」

2020.10.15

マクロビオティック

遺伝子を修復する「亜鉛」に注目
福島の原子力発電所の放射能漏れ事故により、水や野菜、土壌の汚染が問題となっていますが、食事に気をつければ放射能の害から身を守ることができます。放射能による一番の問題は、遺伝子が傷つくことです。大量の放射線を帯びると遺伝子におプログラムミスが生じ、細胞に奇形やガンが生じやすいのです。この遺伝子の傷を修復してくれるのが修復遺伝子です。
ではどうすれば修復遺伝子を活性化できるかとというと、その活性化に「亜鉛」というミネラルが深く関わっていることがわかってきたのです。

 

海藻・豆・乾物 「亜鉛」を多く摂れる料理
「亜鉛」をたくさん含む食品
亜鉛を多く含む食べ物を摂取することで、放射能や電磁波、化学物質による遺伝子の損傷を修復する働きが高まり、ガンや白血病の発症を抑えることができるのです。亜鉛を多く含む代表選手がわかめや昆布、ひじき、海苔などの海藻類です。大豆や小豆、黒豆などの豆類にも亜鉛が多く含まれます。ですから、豆と海藻を煮合わせた、昆布豆やひじき豆などの煮豆料理や、小豆昆布、小豆昆布かぼちゃといった料理がおすすめです。

また、高野豆腐や千切大根、干し椎茸などの乾物にも亜鉛が多く含まれています。さらに、食物の皮の部分にも亜鉛が多く含まれているので、玄米や雑穀などの表皮が残った穀物を食べたり、野菜も皮をむかずに丸ごと食べると1日の必要量16mgが摂取できます。

米糠で発酵させた漬物や味噌や納豆などの発酵食品にも亜鉛などのミネラルがバランス良く含まれています。

妊婦さんや授乳中のお母さんには特に必要な「亜鉛」
育ち盛りの子供や赤ちゃんの細胞が特に放射能の害を受けやすいので、妊婦さんや授乳中のお母さんは特に亜鉛の多い食べ物を摂るように心がけて下さい。奇形や異常出産、子供の甲状腺ガンや白血病を予防できます。

亜鉛はたんぱく質の合成とも深くかかわっていて、タンパク質が原料である酵素やホルモン、遺伝子の生成になくてはならない成分です。細胞の再生や修復、成長や発育といった新陳代謝機能にも大きな影響力を持つのが亜鉛なのです。

 

悪い物質は脂肪細胞に蓄積します
牛の乳に蓄積する放射性物質
では、放射性物質はどこに蓄積するのでしょう。食品添加物や農薬などの化学物質も同じことがいえるのですが、放射性物質などの有害な物質は脂肪細胞に濃縮されて蓄積することが分かっています。チェルノブイリ原発事故の放射能漏れにより、ヨーロッパの広い範囲で牧草の汚染が広がりました。牛は牧草を食べて生きているのですから、牧草が放射能で汚染されれば、牛の体内で放射性物質が濃縮されて、脂肪細胞に蓄積することになります。牛の乳には脂肪細胞が多いので、ミルクやバター、チーズなどの乳製品からストロンチウム90が検出され問題となったのです。
これは乳製品だけでなく、脂肪を多く含む肉類や肉加工品全般にいえることです。また、海水の放射能汚染により、食物連鎖のトップにある大きな魚も問題となるでしょう。

 

「食物繊維」と「亜鉛」、「よく噛む」ことがポイント
便として脂肪を排泄することが大切
体内に蓄積した脂肪分は胆汁として腸に排出されます。このとき腸に食物繊維を送りこんであげれば、繊維質が胆汁をからめ取って体外に便として流してくれます。脂肪を排泄できれば放射性物質も体外に排泄できるのです。しかし、便秘をしていると胆汁が排泄されず、毒素が濃縮して溜まっていくことになります。それに歯止めをかけるために食物繊維を多く含む食べ物を摂る必要があるのです。

どんな食品を摂ればいいの?
そこでおススメなのが食物繊維をたくさん含む玄米です。米ぬかにダイオキシンなどの環境ホルモンや有害重金属などの化学物質を排泄する力が高いことも分かっています。また、ごぼうや大根、ニンジンなどの根菜類も皮をむかずに食べましょう。皮の中にはさまざまな排泄を促すビタミンやミネラル、抗酸化物質、食物繊維が含まれているからです。ヨモギやスギナなどの野草にも食物繊維が含まれるので、野草を春にしっかり摂っておくのも大切です。

「噛む」ことが重要
このときに大切なポイントはよく噛むということです。噛むことで解毒や殺菌、修復を行う酵素やホルモンが分泌されます。一口最低50回以上噛んでください。放射能の被爆から身を守るためには一口100回以上噛むことをおススメします。
 
放射能から身を守るために、ぜひ食物繊維や亜鉛を多く含む食べ物を活用してくださいね。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/