マクロビオティックライフ講座 第10回「五行と健康法」

2020.12.05

マクロビオティック

自然と身体はつながっています
陰陽五行とは、「木・火・土・金・水」で万物が流転する姿を表わした中国古来の易学の思想で、自然の姿と人間の状態を関連させてとらえる考え方です。たとえば、五臓・五腑との関係でみると、木は肝・胆のう系、火は心・小腸系、土は胃・脾系、金は肺・大腸系、水は腎・膀胱系のツボのことになります。この考え方をふまえると、どのような健康法が適切かということも推測することができます。

 

春は肝の働き、夏は循環器系に注意しましょう
春は、肝臓と胆のうのツボの不調が起こり、自律神経の病気を招きやすいのですが、その改善には「木」と関係する森や里山などの緑豊かな自然の中で過ごすのが効果的です。 
森の中を歩く森林セラピーが注目されていますが、マイナスイオンたっぷりの自然の中にひたっていると、血液がサラサラの状態に改善され、血行不良からくるストレスが緩和され、自律神経の状態も良くなってきます。森林浴や木工細工をしたりすることで、肝の働きが良くなるのです。

夏は、熱や血液の循環に関係する心臓と小腸のツボが支配しています。この働きが衰えると血行不良からくる冷えのぼせや、ほてりなどの症状をともなう心臓病などの循環器系の病気が引き起こされます。その予防には「火(発熱)」によってカロリー(熱量)を消費させるウォーキングなどの運動療法がおススメです。森林の中を歩くハイキングは肝臓系や心臓系のツボを活性化します。火を使うお料理なども効果的です。

 

土用は少食やプチ断食、秋はリンパの流れを良くして
季節の変わり目の土用の時期を管理するのが、胃と脾臓のツボです。このツボが不調になると、気力がなくなり、低血圧や貧血、冷えなどを引き起こしやすくなります。免疫系の働きの弱りから感染症などにもかかりやすくなります。また、胃腸の弱りから食べても太れない状態や、過食を招くこともあります。 
そんなときは、「土」との触れ合いがおススメ。ガーデニングや家庭菜園などの土の上での作業や土鍋を使った料理、陶芸などの趣味は何よりも心地よい状態をもたらしてくれるでしょう。
食べることが好きな人に胃の弱い人が多くみられますが、土用の時期には少食や素食、プチ断食などを心がけるようにしましょう。
 
秋を担当する肺と大腸のツボが弱ると、そこに集中しているリンパの流れが悪くなり、呼吸器疾患や皮膚炎など、リンパ系の弱りからくるさまざまな症状が現れます。その改善には、「金」にあたる健康法である鍼(はり)や、微量ミネラル(金属)を含む温泉や海水浴がおすすめです。実際に、アトピーの人が温泉や海水浴でよくなっているケースが多くみられます。
また、ミネラルをたっぷり含む有機野菜や玄米などの皮つきの食べ物を食べると、リンパの流れがよくなります。

 

冬は腎を活性化させ、内分泌系を強くしましょう
冬を支配するのが腎臓と膀胱のツボで、この働きが弱るとホルモンバランスの乱れからくる婦人科疾患や老化などの内分泌系の弱りが現れます。腎の働きを高めてくれるのが「水」に関係する健康法です。症状を引き起こす成分を水で何倍にも薄め、それを摂取することで症状を改善するホメオパシー法です。内分泌系のトラブルに非常に効果があるといわれています。
また、台所やトイレ、お風呂などの水回りのお掃除をまめにするように心がけると気持がすっきりし、「水に流す」というように、物事にとらわれない心になってくるでしょう。

このように、五行と自然を関連させて考えると、自分の症状にはどのような健康法がよいのか、その目安が分かります。東洋の知恵を集めた陰陽五行の考えをぜひ生活に活かしてください。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/