マクロビオティックライフ講座 第12回「食中毒の予防法」

2021.01.07

マクロビオティック

梅干しは副作用のない抗生物質!?
梅雨の時期から夏場にかけては食中毒が増える時期です。この時期に食中毒にならない対策にはどのようなものがあるでしょう。

食中毒の原因は腸内の腐敗毒素 
植物性の食べ物で食中毒を起こすことはまれで、動物性たんぱく質を食べたときに引き起こされるケースが圧倒的に多いようです。野菜やくだものに比べて、肉や魚が腐ったときは非常に強い悪臭がしますね。普段から動物性の食品を食べ過ぎていて、しかも便秘がちだったりすると腸内で食べ物が腐敗しやすくなり、その腐敗毒素によって中毒反応が起きるのです。

古来からの食中毒予防アイテム「梅干」 
食中毒を起こす腐敗菌は、湿度や温度が上がるこの時期に繁殖しやすくなります。そして、日本人が、古くよりこの時期の食中毒予防のアイテムとして活用してきたのが「梅干」です。
梅干の塩分には、殺菌や防腐、抗生の働きがあります。冷蔵庫などなかったころ、人々は食べ物を塩蔵というかたちで保存してきたように、梅干の塩分には防腐作用がああります。それだけでなく、梅干には強力な殺菌力を持つクエン酸をはじめとする数々の有機酸が含まれます。この梅干に対抗できる菌はいないようで、空気中の菌まで殺菌する力が梅干にはあるようです。
化学的な防腐剤や殺菌剤、抗生物質は、悪玉菌だけでなく善玉菌までも無差別に殺してしまいますが、梅干のすごいところは、悪玉菌だけを殺菌し、善玉菌は活性化するという機能が備わっているところです。梅干は、副作用のない世界最高の天然抗生物質といえます。

 

梅酢をうまく利用して
この梅干の働きをさらに強化したものが梅酢です。梅干が漬け上がる前に浸みだしてきた汁が梅酢です。その殺菌力は梅干よりも強力で、急性の下痢や食中毒には即効性があります。

紫外線不足も食中毒の原因?
曇天の多い梅雨時期は太陽の光が不足しがちになります。紫外線は皮膚ガンの原因となるといわれていますが、実は紫外線には抗菌や殺菌という大切な働きもあります。たとえば、レストランの厨房や新幹線のトイレには紫外線殺菌灯が取り付けられていますし、医療機器の殺菌にも紫外線が用いられています。ですから、太陽光線が不足する梅雨時期には、紫外線不足から食中毒が起こりやすくなるのではないかと思われます。

 

乾物や海藻を取り入れて梅雨を元気に乗り切る
洗濯ものも布団もまな板も、太陽光線にさらすと雑菌がいなくなります。米も太陽にさらしておくと虫がいなくなります。梅干も土用干しすると傷みにくくなります。同様に、人間も甲羅干しするといいかもしれません。
 
実際に、化膿菌が入って悪化したアトピー性皮膚炎も太陽光を当てると改善しやすいということが分かっています。太陽光の紫外線には、骨を丈夫にする働きや甲状腺ホルモンの代謝を良くし肥満を防止する働き、性ホルモンの分泌を促して不眠症や更年期障害を改善する働きなど、さまざまな紅葉があることが分かってきました。

また、太陽の発する紫外線ではなく、蛍光灯などの人工照明が発する紫外線に皮膚ガンを招く作用が強くみられることも報告されています。ですから、太陽の光をおそれることなく、1日最低1時間くらい戸外ですごすようにすると食中毒だけでなく、いろいろな症状の改善につながります。

梅雨時には、太陽の光をたっぷりと浴びた乾物を食べる習慣が日本にはありました。日照不足による新陳代謝の不足を防ぎ、体の水はけをよくするという働きが高野豆腐や千切大根、干し椎茸、ひじきやわかめ、のり、昆布などの海藻などを上手にお料理に取り入れることで、梅雨を元気に乗り切ってください。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/