マクロビオティックライフ講座 第15回「プチ断食のすすめ」

2021.01.30

マクロビオティック

食べないことで老廃物が一気に燃焼
飽食・過食の時代の中で、「食べないこと」「少食にすること」は難しいと思われるかもしれません。でも、意外とやってみると心地よく、身体が喜ぶのを体感できます。

薪ストーブに薪を入れ過ぎると不完全燃焼を起こして火が消えてしまいます。そして一酸化炭素という有毒ガスが発生し、ススがストーブや煙突に詰まっていきます。人間の身体も同じで、食べ過ぎたものは体内で不完全燃焼を起こして、アンモニアや一酸化炭素などの有毒ガスを発生させます。そして老廃物というススが血管や細胞にくっついて動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こします。

ところが、今の栄養学は不完全燃焼しているストーブにさらに薪をくべなさいと言っているのです。くすぶった火を十分に燃え上がらせる最も簡単な方法は「薪を抜く」ことです。人間も食事を抜いたり少食にしたりすることによって、くすぶっていたものが完全燃焼し、老廃物が一気に燃え尽きるのです。
これからの時代に必要なのは、「少食」や「素食」、「断食」によって、体内に滞った老廃物を浄化するという「マイナスの栄養学」です。

 

断食をするとツヤがよくなり若返りを促進
人間の体内には3000種類から5000種類にも及ぶ莫大な数の酵素が新陳代謝を担っているといわれています。その酵素の80%は食べ物の消化に使われる消化酵素です。残りの20%が修復・解毒酵素で、身体の修復や若返り、毒性物質の解毒などに使われています。

ところが、断食をすると、消化に使っていた80%の酵素も修復や解毒に回されるため、劇的な改善効果が発揮されます。断食をすると肌のツヤがよくなるのはそのためで、全身の若返りが促進されるのです。火傷などの傷や骨折などの治りも非常に早くなります。3日間の断食で半年から1年間の身体のススが清められます。

目に見える食べ物という物質を減らしていくと、目に見えないものの入力が増えます。その結果、直観やインスピレーション、創造力が冴えわたります。また、断食してお腹がきれいになると、物質的なものへの執着がなくなっていき、名誉や権力、学歴、お金などへのこだわりが減ってきます。あるがままで嬉しい、楽しい、幸せといって暮らすことができるようになってきます。

 

月の引力を助けに身体の中を清める
断食は月のリズムに合わせて行うと、より効果的になります。下弦の月から、新月にかけてが最も解毒力、排泄力、浄化力の高まる時期です。この約2週間の間に断食をすると、腸内や血管に滞った老廃物、体内にたまった有害化学物質などをきれいに掃き清めることができます。月の引力によって汚れが引き出されやすくなるからです。翌日の目覚めが良くなり、身体もイキイキしてきます。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/