マクロビオティックライフ講座 第17回「不妊症の改善は冷え対策から」

2021.02.20

マクロビオティック

現代女性に多い低体温 甘いもの止められず
女性の間に激増している不妊症は日本で46万人(2003年時点)くらいいるといわれており、既婚女性の4人に1人が不妊症で悩んでいるというデータもあります。1999年から4年間で不妊治療患者数は1.6倍に増えています。原因としては排卵や卵管、着床の問題、男性側の問題などが考えられますが、私は冷えとの関わりが深いと見ています。なぜなら、そうした不妊症の方に多く見られる傾向が冷え性であるからです。

日本人の平均体温は36.5度で、36.3度以下を低体温ととらえます。現代の女性には低体温の方が増えてきており、不妊症の方には特にこの傾向が顕著に見られます。卵子が排卵する際、子宮壁が冷えていると着床できず、流れてしまうからだと考えられます。

私のところにも最近不妊の相談がよく寄せられますが、普段の食事内容を聞いてみると、甘いものが大好きで、糖質お多いお菓子やケーキー、アイスクリーム、クッキー、菓子パン、果物を頻繁に食べているケースが多く、甘い砂糖の入ったコーヒーが止められないという方も結構いました。

 

内臓を冷やすスムージー 熱をもった塩で冷え取り
最近、朝にスムージーを飲むことが流行っていますが、私は内臓が冷えないか心配しています。寒さをこらえて飲んでいるという方もいて驚きました。陰性なカリウムの多い生野菜と生果実に氷をミックスしたものなので、子宮や内臓が冷えるのではないかと思うのです。夏場はまだ良いとしても、秋から冬にかけて体温が低い人が飲むとマイナス面が多いと思います。

塩は熱を蓄える力が強いため、冷え性の改善の手助けをしてくれます。塩をフライパンで炒ってから袋に入れ、おなかにあてる温熱法は、お腹を温める手当てとして昔から行われてきました。お湯よりも味噌汁でやけどをしたほうが傷がひどくなるのも、塩の蓄熱作用のためです。

低体温の人にとっては朝、梅醤番茶や味噌汁といった熱をもった塩気を胃腸に入れることが、とても効果的な冷え取りになります。寝る前には葛を溶かした葛梅醤番茶を飲むと、お腹が温まりぐっすりと眠れます。

身体の熱を生み出す力の強い米や雑穀、そばなどの粒食は、何よりも身体を芯から温めてくれます。高野豆腐や千切り大根などのような乾物にも体内の余分な水分を抜いて身体を温める働きがあります。

 

生命スイッチが入る素食は子だくさん
動物性食品をあまり食べられない素食の地域ほど子だくさんで、反対になんでもごちそうが食べられる先進国や豊かな階層の人たちの間では、出生率の低下がみられます。日本の出生率(1人の女性が生涯に出産する子供の数の推計値)は1.39人(平成23年度)で先進国で最低レベルとなっています。

人間は飢餓状態に陥ると、自分の身体は滅びても次世代の種としても子孫だけは残そうという生命スイッチが入るようなのです。素食によって胃腸の負担が減り、生殖活動に生命エネルギーがまわせるからとも考えられます。私のところに相談に来られる不妊症の方には、時々プチ断食をして生命のスイッチをオンにすることや、月を意識した生活をすることで月経周期を整えるようアドバイスしています。

 

「生きた食べ物」か吟味 自然な方法で改善を
マクロビオティックは穀物や野菜を丸ごと食べる料理法ですが、玄米や雑穀、豆といった生きた芽の出る食べ物かどうかを吟味することも大切です。精白したものや、遺伝子操作されたものには生命力エネルギーが不足しているので化学物質を含む不自然な食べ物は極力避けるようにしましょう。季節のもの、有機栽培のものが生命力では優れています。旬の食材を活用しましょう。

子宮を温める食事と、時々のプチ断食によって免疫力や血液の循環力を増し、生命エネルギーを高めることができれば子宝を授かることができるでしょう。不妊治療という選択肢もありますが、薬の副作用で苦しんでいる人をたくさん見ているので、できるだけ自然な方法で改善していきましょう。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/