マクロビオティックライフ講座 第19回「風邪の予防と治療法」

2021.03.01

マクロビオティック

食べすぎた翌日は断食か小食に
冬場にかけて風邪やインフルエンザなどの感染症が流行しますが、今回は風邪や感染症の原因と予防や治療法についてお話しします。

風邪の菌が飛んでいても風邪をひく人とひかない人の差があるのはなぜでしょう。それは血液の質の違いにあります。例えば、蚊にかまれる人とそうでない人がいますが、よく噛まれる人というのは甘い血液の人に多いようです。砂糖水と塩水とを置いておくと、アリや蜂は必ず砂糖水の方に寄ってきます。これはウィルスの世界も同じです。また、インフルエンザの菌は卵の黄身を使って培養します。ということは白砂糖と卵を使った食べ物(ケーキ・アイスクリーム・シュークリームなど)が好きな人は最も風邪や感染症の菌が好む血液の質を持つことになります。

風邪のひき始めには共通した症状があり、それはいくら食べても満足できないという異常食欲です。食べ過ぎると胃腸が疲れて消化不良を起こすため、消化できなかった食べ物が腸内で腐敗し、毒素を発生します。その毒素が腸で吸収されて血液中に流れ込むと、その汚れを浄化しようとして風邪の菌が繁殖し、症状が現れるのです。ですから、食べ過ぎて風邪気味かなと思ったら、翌日には断食するか小食にしてください。そうすると胃腸が休まるため、重症にならずに未然に防ぐことができます。

 

熱が出るのは免疫力を高めるため
犬や猫などの自然界の動物は、病気をすると必ず断食をして胃腸を休めます。

穀物や野菜、海藻、漬物などの植物性のものは消化がよく、胃腸に負担をかけません。ところが、肉や卵、魚、牛乳などの高脂質、高タンパク、高カロリーの食物はタンパク質の結合が高いため、消化に穀菜食の4~5倍の時間がかかります。風邪をひいて病院に行くとお医者さんは必ず栄養のあるものを食べなさいといいますが、本当は断食や小食にして胃腸を休めてあげるのが一番良いのです。

また、風邪をひくと熱が出ますが、これも自然治癒力の働きと見ることができます。食品を加工する場合でも、熱殺菌をして保存性を高めるというやり方をしますが、人間についた菌というのも熱に弱いのです。

人間の免疫力というのは、37℃~38℃に体温が上がると働き始めます。体温が上がらない人は寒気がしてブルブル震えたりしますが、そういう人は基礎体温が低い低体温の人が多く、脳のサーモスタットのスイッチがなかなか入らず、免疫力が働いてくれません。こういう時には身体を芯から温める生姜湯やくず湯、梅醤番茶がおすすめです。また、根の野菜も身体を温めるので、ねぎや大根のような発汗作用のある野菜を入れた味噌汁やねぎ味噌おじやが食薬になります。

風邪をひくと「食欲がなくなる」、「体温が上がり熱がでる」という、人間に備わった自然治癒力というお医者さんが働き始めます。熱も大切な働きをするわけですから、むやみに解熱剤で下げてしまうと風邪が長引くことになります。

 

塩と酢で殺菌 風邪は排毒反応
風邪の対策でもう一つ大切なのは、風邪の菌を殺す食べ物です。風邪の菌の嫌いなものは塩で、たいていのウィルスやバクテリアは塩で死んでしまいます。昔の食べ物の保存は塩蔵でした。しっかり塩で漬けこまれた漬けものや梅干はなかなか腐りません。外から人間に侵入する菌を殺菌するのも血液や血液中の塩分です。血液中の塩分濃度は0.85%で、この塩気が十分効いていればウィルスは体内で繁殖できないのです。

ただし、耐性菌という強い菌の場合は塩では死なないことがあり、この場合は酸(酢)で殺菌します。耐性菌は酸に弱いものが多いからです。ということは、塩分と酸をあわせ持った食物でどんな菌でも殺菌することができるのです。アミノ酸やクエン酸などの有機酸と塩を合わせ持つ梅干や味噌、醤油、梅酢、漬物などはこの代表的な伝統食です。風邪のときには梅醤番茶やねぎ味噌おじや、梅酢、梅干の黒焼きが効くというのもこのメカニズムによるものです。

風邪やインフルエンザも体内の排毒(デトックス)反応ですから、血液を浄化して流れを良くしてあげれば自然に収まってきます。なによりも普段から食生活に気をつけて予防を心がけることが大切です。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/