マクロビオティックライフ講座 第11回「体臭予防は食事が決め手」

2020.12.15

マクロビオティック

消臭グッズの流行は食生活の変化も原因
最近、口臭やわきが、加齢臭が気になるという人が増え、消臭スプレーや口臭予防薬などの消臭グッズが流行しています。体臭の強い欧米人と違い、昔の日本人は香水などの芳香剤を身につける習慣はほとんどなかったようですが、消臭剤が必要になったということは、食生活の変化とともに、体質も欧米化してきているといえるでしょう。

 

動物性食品や過食がススやガスのもとに
体臭の元となる成分は皮膚の汗腺から分泌されます。前回お話しした陰陽五行の考え方では、皮膚は大腸とつながっていて、大腸が汚れると皮膚が汚れ、大腸がキレイになると皮膚もキレイになると捉えます。

この大腸で腐敗を起こしやすい食べ物が動物性たんぱく質です。「腐」という字は胃や腸といった「腑」に「肉」が入ると「腐り」やすいということを示しています。腐敗を起こすと、有毒ガスや老廃物というススを発生させ、それが体臭の原因となります。

また、食べ過ぎると腸内で不完全燃焼を招くことになります。薪ストーブに薪を詰めすぎると、くすぶってススや一酸化炭素が発生するのと同じように、腸内で悪玉菌が発生して腐敗毒素を生産し、それが体臭を増やすことになるのです。

 

肉料理には香味のある野菜を組み合わせて
では、体臭を予防するにはどうすればよいのでしょう。それは、腐敗毒素を発生しにくい穀物や野菜を中心とした食生活に変えればよいのです。

穀物や野菜は、脂肪やたんぱく質と比べると、善玉菌によって容易に分解できます。また、少食や素食、時々のプチ断食を心がけると、腸内環境が完全燃焼状態に改善されやすくなります。

東洋医学の「類似の法則」を使うと、体臭予防に向く食べ物が分かります。悪臭を発する食べ物には、臭いの強い食べ物を取り合わせて、臭いの発生を抑えるという方法です。ニラや白ネギ、生姜、ニンニクといった野菜を卵、鶏肉、豚肉、牛肉などをお肉に付け合わせると、腸内腐敗しにくくなり、体臭を抑えることができるのです。ニラ玉やネギ玉、オムレツに玉ねぎ、焼き鳥のネギ間、牛肉にニンニクを含んだタレなどがその組み合わせですね。

 

芳香成分をもつ食品もおすすめ
さらに、揮発性の芳香成分をもつ発酵食品もおすすめの食べ物です。伝統製法の味噌や醤油、納豆、漬物には独特の香りがあり、特にたくあんは「お新香」とも呼ばれています。このような伝統的な発酵食品には、くすぶった腸内を完全燃焼状態に改善する働きと、体臭を抑える働きがあるのです。 生姜湿布でお腹をあたためるのもおススメ。こうした野菜に含まれる芳香成分が体臭の発生を抑えるだけでなく、体内に滞った汚れを流してくれます。

ところが、そのような薬味となる野菜や発酵食品、手当て法を用いても、動物性食品の摂取量が多すぎると浄化が難しくなります。普段から穀物や野菜中心の食事を心がけましょう。また、デオドラント剤は、皮膚の粘膜から化学物質の侵入を招き、経皮毒となることもありますので、極力使わないようにしましょう。体臭予防は食生活を変えるだけで無理なく安全にできます。

 

《生姜湿布の作り方》
①生姜をおろし金ですりおろす。または生姜粉末を使う。
②①を布袋に入れ、ひもで結ぶ。
③沸騰しない程度に温めたお湯(約70度)を洗面器に入れ、②をつけて振る
④③の中にタオルを浸し、固すぎない程度に絞る
④温めたい場所に当てる。やけどしないように気をつけてください。

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/