マクロビオティックライフ講座 第20回「花粉症の対策」

2021.03.10

マクロビオティック

日本人の国民病!?花粉は原因でなく”引き金”
3月初め頃から症状が現れる花粉症ですが、日本人の6人に1人がかかる病気となっています。スギやヒノキの花粉が原因と言われていますが、それは引き金に過ぎず、原因ではありません。本当の原因は体内に溜まった汚れであり、花粉の力を借りて汚れを対外に排泄しようとする浄化の反応が花粉症だと私はとらえています。  

漢方医学では、花粉症を水毒症ととらえます。体内に過剰の水分と白砂糖由来の糖分があると、肥満細胞から出されるヒスタミン(炎症物質)が増加します。細胞が陰性化することによって免疫過敏症になるといったらいいかもしれません。普段から清涼飲料水やアルコール、水分や糖分の過剰摂取と食べ過ぎ(食べたものも最後は水に変わります)も原因となります。涙、鼻水、くしゃみで余分な水を吐き出そうとする排泄反応を水毒症といいます。風邪と違い、サラサラの鼻水が出るのが花粉症の特徴です。

 

免疫細胞が使う活性酸素。増えると免疫過敏に。
また、ヒスタミン値が上昇し、過敏な反応を引き起こす原因に牛乳があります。牛乳は腸内の粘膜をただれさせ、腸管出血を引き起こし、乳児期に与えるとアレルギー体質になりやすいことが分かっています。小さい頃から牛乳の多量摂取で腸壁が弱ると、傷ついた腸壁から牛乳のたんぱく質が体内に流れ込み、リンパ組織に入ったたんぱく質を異物と判断して免疫細胞が攻撃をすることでアレルギー症状が引き起こされます。

その際、免疫細胞は活性酵素を攻撃兵器として使うのですが、この活性酵素の副作用によってさまざまな問題が起きます。そのひとつが免疫過敏症です。体内に活性酵素が増えると、体に侵入した花粉やダニ、カビなどに対して、過敏になります。免疫細胞は、鼻、喉、目の粘膜など、外気と接するところに多く配置されています。活性酵素による粘膜のただれや血液の粘りが原因となって毛細血管が血行不良となり、その結果アレルギー性鼻炎や結膜炎などの炎症がおきます。これが花粉症です。

 

“毒素タンパク”春先に増加
花粉の成分はたんぱく質です。これに空気中の公害物質であるチッソ酸化物やイオウ酸化物が、春先に強くなる紫外線によって化学的に結びつき、活性酵素を持った毒素たんぱくと化し、花粉症を引き起こします。田舎より都会での発症率が高いのはこのためです。動物性食品の摂取が多いと腸内で酸化物が発生し、花粉症体質が作られます。

季節的な要因もあります。冬場体内に蓄積した汚れが排泄されるのが春先で、その排泄に肝臓が手一杯になり、肝臓の働きが弱りやすくなるのが3月初め頃で、その排泄反応のひとつが春先に増える花粉症やアレルギー症状ととらえてもよいでしょう。

 

脂肪・タンパク質を減らし、小豆、乾物、ネバネバ食材を
花粉症予防対策としては、まず、乳製品全般(牛乳・バター・チーズ・ヨーグルト・アイスクリーム)を控え、お茶や水、ジュースやアルコールなどの水分、白砂糖を含む甘いお菓子や菓子パンを減らすことです。また、素食(脂肪、たんぱく質を減らす)にして胃腸を休めてあげると症状が改善されやすくなります。特に断食は即効性があり、3日間プチ断食をすれば、腸、目や鼻の粘膜の炎症が治まります。

腸の粘膜の修復のためには、小豆入り玄米ご飯、発酵食品である味噌汁、漬物がおすすめです。これらの繊維質の多い食べ物で腸内細菌の働きが良くなると粘膜が強化されます。また、粘膜の傷を修復し、再生する力を助けるミネラルである亜鉛を含む高野豆腐、切干大根、干しシイタケ、かんぴょう、海藻類といった食材も粘膜強化にぴったりです。小豆や乾物は利尿作用があり、余分な水分を排泄してくれます。

さらに、蓮根、自然薯、なめこ、わかめ、昆布といったネバネバのある食材も粘膜の保護の役割をします。これらに含まれる抗酸化物質が活性酸素の発生を抑えてくれます。活性酸素が除去できれば血液の流れが良くなり、炎症を抑えることができます。

化学物質全般も炎症をひどくするので、添加物や農薬などの化学物質を含まない食材を選び、小食や素食を心がけてこの時期を元気に乗り切りましょう。

お手当法としては、目と鼻に生姜湿布をするのがおすすめです。

 

《生姜湿布の作り方》
①生姜をおろし金ですりおろす。または生姜粉末を使う。
②①を布袋に入れ、ひもで結ぶ。
③沸騰しない程度に温めたお湯(約70度)を洗面器に入れ、②をつけて振る
④③の中にタオルを浸し、固すぎない程度に絞る
⑤温めたい場所に当てる。やけどしないように気をつけてください。

 

 

岡部賢二(おかべけんじ)

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食であると気づき、マクロビオティックを学ぶ。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。2005年にムスビの会を発足し、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)などがある。
ムスビの会HP(https://www.musubinewmacro.com/